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男も言いたい
瀕死の状態の日本を男性社会の内側から分析。ある時はグローバルでシビアな視点で。ある時は、あなたのすぐそばにいるオジサンのようなハートフルな視線で。男性から女性への深く、あたたかいエールです。

男子反省教育奨励会

女子教育奨励会 理事・事務局長
清水 敬允

清水 敬允さん
清水 敬允(しみず ひろちか)

慶応義塾大学 経済学部卒業。(株)東食に入社、マダガスカル国で、主に政府援助資金を活用して各種開発業務を担当する(実験農場、畜産センター建設、先方政府との合弁で運輸冷蔵倉庫の建設事業等)、その後、海外店統括・人材開発・流通外食事業等の責任者、関連会社の社長等に携わる。東京女学館短期大学管理部長。趣味は合唱団 城の音 代表、能を楽しむ会会員、スペシアルオリンピックス会員、テニス、蕎麦とペペロンティーノの比較文化。

はじめに
私は今、したり顔で「女子教育奨励会」に入って、「20世紀は男性主導のシステム・ネットワークが破綻をきたした。これからは女性のリーダーシップの育成を図っていかねばならない」等と言っているが、実はついこの間までは男性主導のメンタリティとそのシステムにどっぷり漬かっていたことを、告白しなければならない。私は反省と懺悔の意味も込めて、「女子教育奨励会」の仕事を始めたと言える。そして今、「女子教育奨励会」の大きな仕事の目標の一つは「男子反省教育奨励会」だと思うようになった。
と同時に男性優先の考えは、日本ばかりでなく戦いに明け暮れてきた人類の歴史上の問題から来るもので、風習・役割分担などそう簡単には割り切れないものがあるのではないかとも思っている。
人類が21世紀を迎え、自然・地球と、多面的な民族・宗教と、いろんな意味で「共生」の時代に入ったことは間違いなく、その意味で、やみくもの男女同権・フェミニズムではなく、人類が生存していく為には、今まで埋もれていた人材・能力を男性や女性の関係なく引き出していく、真の男女のパートナーシップの時代にならなければならないと思っている。とても消化しきれない大きな問題ではあるけれども、何かのきっかけになればと思っていることを書いてみよう。

会社人間男性のメンタリティ例
私は、戦後の経済成長の時、商社に勤めていた。参考までに当時の会社、男性のメンタリティについて思い出してみよう。
会社の中ではいかに自分は亭主関白であるかを、誇示していたような風潮があった。男は外に出れば7人の敵がいるのだから、家に何時に帰るか、飯を食べて帰るかなどはその時になってみなければ判らない。妻は何時でも飯を用意して待っていなければならない。夜中に突然、会社の部下や仲間を自分の家に連れて行くことは、むしろ理解のある話の判る課長タイプであった。
精一杯の愛妻家は、どんなに遅くまで仕事をして夜中に帰ろうが、また外で食べようが、愛妻の作った味噌汁とご飯を食べなければ気がすまないという奴がいた。夜中に、寝しなに食べるのだから、身体に良いわけがなく、仕事の激務もあり早死にしてしまった。
そんな中で、夜会社から自宅へ、今日は食べて帰るかどうか、必ず妻に電話をする上役がいた。自分が待つ身になった時に、電話一つの連絡でどのくらい気が楽になるかを痛感したことがあるので、私も何時の間にか真似をして実行するようになった。この点だけは妻から評価されていた。しかし、私もその上司も真に妻への理解があったかというと、正直そうでもなかったとしか言えない。

男性のネットワークと女性
日本の男性は、戦後は外国に追いつけ追い越せの経済成長の名の下に、仕事第一優先主義で、家のこと(炊事、洗濯、掃除、などなど)と育児、介護、近所付き合いから完全に離れてしまっていた。むしろ、家のことからいかに離れているかが、格好よさに通じていたともいえる雰囲気があった。
そういう猛烈男性社員達によって、戦後の日本の奇跡的な復活・成長が成し遂げられたことは事実である。そして、男性達は実に様々なネットワーク・群れ・コネ作りに精力を傾けてきたのである。例えば、同業仲間、同県人、同窓・先輩後輩、同じ部の出身、仲人、親類縁者、紹介状、ゴルフ、麻雀、飲み・・・・・。そしてそれらが重なり合って独特な仕組みを形作り支えあい、前例となって仕事が進められていく。

だから、日本の戦後の発展は、女性の補助・犠牲によって成り立っていたのは間違いない。勿論表面的には男女機会均等法等により、男女同一賃金・条件等が謳われたが、現実にその通り運用されていた会社は殆ど無く、現在でも全く差別無しというところは決して多くはない。私が初めて同じ課の女性を沖縄に出張させようとして、大騒ぎをしたことが懐かしく思い出される。当時の(或いは今でも)会社の人事部門を中心とする女性に対する見方の主なものは;
・転勤させられない ・出張させられない ・お客様と夜の接待はさせられない・出産で長期に休まれて困る・・・というものである(これは理解ありげに言えば、女性は弱いものであるから保護してやらねばならない・・・ということである)。
急遽試験制度を作り事務職の優秀な女性を、男性と同じ一般職(総合職)にしたことがあった。何人かが目出度く選出されたが、女性同士のひがみなどもあり本人も廻りも変に気を使い過ぎて、かえっておかしくなり能力も発揮出来ず、だから女性は駄目だよなあーということになってしまう。矢張り、女性本人の自覚と組織を動かしている廻りの体制(男性システム)が変わらなければ、制度だけ作っても本当の改革は出来ないと、今にして思う。

過保護な男性
戦後の日本の男性は三大過保護に守られて来たと、誰かが言っていたがその通りだと思う。先ず甘やかしの母親に育てられ、終身雇用・年功序列の会社で守られ、そして結婚して献身的妻に支えられている。
だから、逆に一人になってしまうと生きて行けない。統計的にも妻に先立たれた男性は平均年齢より早死にするという。妻の場合は逆である。盟友松信章子さんの「男の自立度は、料理をするかどうかが一つのバロメーター」は、けだし名言だと痛感しているこの頃である。私などは明治時代からの「男子厨房に入るべからず」の格言に育てられてきた。私の父は、マッチを擦ってガスに点火することが出来なかったし、友人の父親は有名な電気工学博士であったが電球を取り替えることが出来なかったという。我が尾形明子さんの「黄金の鍵」で威張っていた男性群は、誰も一人では生きていけない典型であったと思う。

21世紀からは真の男女イコールパートナー
先日テレビを見ていたら、「最近男性が元気がなく何処へ行っても女性が元気である。男性はもっと自信を持って"俺に付いて来い"と言わねば駄目だ」いう意見がなんとなく説得力がありそうに聞こえていた。
しかし、男性がただ亭主関白の自己中システムで威張っていたのでは、前の繰り返しになってしまうし、また、単に女性が元気なだけでは世の中は変わらない。男も女もきちんとした組織の中のリーダーシップを身につけて、社会の意思決定に参加していく自覚と環境がなくては駄目である。女性の今の元気さは単に、海外旅行でブランドを買いあさり、グルメでおしゃべり、ゴルフ・テニス、居酒屋で一杯・・・のレベルが多いのではないだろうか?(勿論一部NPO等地域で活躍を始めた人も増えてきていることは確かだが)

さて、今21世紀。20世紀までの従来の男女の住み分けではなく、男女は真のパートナーとして平等に、その中で相応しい人材が必要な時に、世界を日本をリードしていくべきであるという人類にとって大きな価値観の転換の時代が始まったと解釈したい。これは所謂「インクルーシヴリーダーシップ」(ホームページ参照)にも通じるのかもしれない。人類は、50%を占める女性の知恵と力を、もっと有効に活用すべきなのであり、女性がどんどん意思決定に参加していれば、馬鹿な戦争や不正ははるかに少なくなるのではないだろうか。(といのは、誉めすぎかもしれないが?)

「女性のリーダーシップ」が実現したとすれば、それは単に従来の男性と同じタイプでは面白くない。
木目の細かさ・忍耐力・清潔感・優しさ等等、特に日本女性の持つ特質を伴った新しいリーダーシップが生まれるかもしれないと密かに思っている。
親戚の92歳の叔母さん、友人の先日亡くなったが94歳の母親など、この人が会社なり組織のトップだったらさぞリーダーシップを発揮し上手くマネージメントするだろうなという女性がいる。現実的には二人とも、亭主関白の夫に仕え共に夫が早死にしてしまった。

私の個人としての第一歩
夫婦は男女の最小の組織単位である。昔は亭主関白・良妻賢母だけが良いとされすぎてきたが、夫婦はどうあるべきかではなく、お互いにどう補完しあうかであり、夫々の夫婦で夫々のバランスがあって良いと思う。これが真のパートナーシップであり、基本だと思う。いろいろ理屈を言っていないで、先ず男性が出来ることからそれぞれの場で具体的に始めるべきである・ということで、恥ずかしながら私も厨房に少し入り小さな第一歩を踏み出したたことを正直に申告しよう。
以上

2003年4月22日

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